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各地での復元実験
弥生人の銅鐸鋳造技術の素晴らしさを知るために、各地で実施された復元実験をいくつか簡単に紹介しておきます。
唐古・鍵考古学ミュージアム
平成16年の開館時に土型鋳型での復元実験を行っています。
復元のモデルは、天理市高瀬川で見つかったV式(扁平鈕式)の高さ33cmの銅鐸です。
銅鐸博物館の復元実験の小泉さんが平成15年?に実施しています。方法は、銅鐸博物館の第1回目の鋳造実験とほぼ同じですが、粘土の台座は使っていません。
工程の説明図だけなので復元銅鐸の厚みや鋳造結果の詳細は分かりません。
写真ではきれいな仕上がりとなっており、考古ミュージアムに吊るして展示してあり、鳴らすことが出来ます。
茨木市教育委員会
唐古・鍵遺跡と並んで鋳造関係の遺物で有名な東奈良遺跡で見つかった石製鋳型の銅鐸の復元とそれを用いた鋳造実験を行っています。銅鐸鋳型発見40周年記念事業として平成24年?に実施されました。
ここで見つかった第1号流水文鋳型は石製で、銅鐸のサイズとしては約43cmになります。 復元実験は大きさ1/2サイズの銅鐸を鋳造するために、石製鋳型を作り2回の鋳造を行っています。
石製鋳型は上と同じく小泉さんが担当されたようです。 石と言っても鋳造に適した柔らかくて削りやすい、鋳造の途中で発生するガスが抜ける微細な隙間がある石が必要で、島根県から採ってきたものです。
復元厚みは記載されていないので分かりませんが2mm程度と考えます。
結果は、鋳込んだ際に発生するガスが抜けきらず広い面積で青銅の欠損が生じて失敗となりました。
鋳込み前に鋳型(外型+中子)を加熱するが、その時に鋳型が変形したことが考えられています。
連続で2回の実験を行い、同じように鋳造できたので、石製鋳型の連続使用が可能であることが実証できました。
NHK歴史秘話ヒストリア会
2019年2月6日の歴史秘話ヒストリア「まぼろしの王国 銅鐸から読み解くニッポンのあけぼの」の中で、銅鐸の復元実験が放送されました。
淡路島で見つかった松帆銅鐸の紹介に続き、石製鋳型で銅鐸を鋳造する内容でした。 まずは、石製鋳型に適した石材を、神戸市教育委員会の橋詰清孝さんが探しに行くところから始まり、これまで紹介した鋳物師 小泉さんが石製鋳型を作り鋳造するというストーリです。
小泉さんの鋳型作りは、銅鐸博物館の1回目の鋳型製作の流れと似ており、まず、石材を削って銅鐸の形をつくり、文様を彫り込み、この外形に真土を入れて中子を作り、できた中子を薄く削って銅鐸の厚みを出す方法でした。今回実際の厚みについては触れられていないので分かりません。
銅鐸の大きさも触れられなかったと記憶していますが、神戸市というと桜ケ丘銅鐸か同じ兵庫県の最新松帆銅鐸の復元実験と考えられます。どちらも古い形の銅鐸で20〜40cmクラスの銅鐸です。
第1回目の実験では、鋳型の中に溶けた銅を入れると突然、中からの圧力で中子が抜けてしまいました。もう一度やってみるとガスで銅鐸の表面が穴だらけになりました。実は石材から熱分解で炭酸ガスが出てくるのです。
溶けた銅を連続して流し込むと回数を重ねるごとにガスが減り3回目にはガスが少なくなり表面の穴は減ったようです。今回の実験で、石製の鋳型は複数回使えることが実証されました。
放送では「鋳造回数を重ねると気泡が減るので、1日に10回くらい銅鐸を作っていたのでは・・・」と解説し、「同じ型から複数作っていたと考え弥生時代では広い地域で同じ音が鳴り響いていた事が分かった」と結んでいました。
これまで、石製の鋳型では5〜6個の銅鐸が作られていたというのが通説で、今回いきなり10個という数が出てきて戸惑いました。
橿原考古学研究所附属博物館
平成9年に考古学者の森浩一さんが名古屋で講演された資料に銅鐸の復元実験の難しさを解説しておられます。
奈良県立博物館付属考古博物館(当時)には復元銅鐸がぶら下がっており、12時には復元銅鐸の音色を放送していたそうです。
この銅鐸は「三宝伸銅(当時)」と云う会社が復元したそうですが、厚みが実物よりかなり厚いそうです。
加茂岩倉遺跡で出土した一番いい銅鐸の厚みは2mmだけど、「現在2mmで、全部鋳物で仕上げる技術はありません」と日本の鋳造技術でトップレベルの技術者が話されたそうです。
別の鋳造技術者も同様の話をされています。
「現在は未充填防止のため真空鋳造や高圧力で押し込んだりしている。脱型のために離型剤も使う。溶融金属の流し込み口、空気の抜け口など液体の流れを熟知していないとできない。2mmの隙間と聞いてとても驚いた、今の技術でも難しい」とのことです。
復元銅鐸の音色
各地の博物館で、復元銅鐸が吊るしてあり入館者が音をならして聞くことができる展示があります。
大概、良い音色がします。でもあれは実際の音ではないそうです。
復元銅鐸は、作り方の難しさから厚くなっているからです。釣り鐘を思い浮かべてください。相当の厚みがあり良い音がします。一方銅鐸は薄く、薄くなるように作られており音は響きにくくなります。
難波洋三さんの話では、小型のT式、U式など古い銅鐸の場合、まだ厚みがあったようですが、聞く銅鐸のV式では、40cmサイズでも厚みは2mmもないものもあって、音は悪くなる一方だそ
新しいW式の三遠式銅鐸は「見る銅鐸」ではあるが結構鳴らしていたようです。釣り鐘に対して例えるなら、バケツを叩いたような音ではないか・・・というぐらいのものです。
弥生時代後期の人は鳴らして良い音を聞くのが目的ではなく、音を出すことに意義があったのではないかと言われています。

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